Departure's borderline

フリーランス編集/ライターのいろいろな興味事

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「引退」についてのおはなし

野球選手の引退、というイベントは、何度見てもドラマにあふれ、美しく、冷酷だなと思います。

小さい頃から、家族全員が野球好き(見る専門)なので、家のテレビは常に野球中継が流れていました。

私は東京2球団のファンでして、巨人とヤクルトを主に応援しているのですが、昨シーズンは村田選手(横浜→巨人→栃木GB)、松岡選手、山本選手(どちらもヤクルト)の引退試合を現地へ見に行きました。特に村田選手に関しては、本人が「まだやれる」と言い続けていた末の引退だっただけに、心が痛み、まだあの豪快なスイングが見たかったと思います。

 

そして飛び込んできた、2019年3月21日の、イチロー選手引退。

正直、まだやれるんじゃないか、もう少しできるんじゃないか、という気持ちと共に、そうか、ゆっくり休んでくれ、という気持ちがありまして。とても不思議な感覚で昨日のニュース速報を眺めていました。

イチロー選手といえば、私の中では“大リーガー”であり、オリックス時代の記憶はほぼありません。松井選手とほぼ同時期に渡米し、活躍し。大リーグ情報って大体この2人についての特集しか組まれてませんでしたよね。

 

昨日、生中継でというわけにはいきませんでしたが、ここ日本での大リーグ開幕戦、8回裏、ライトの守備についたイチロー選手が監督に指さされ、チェンジになるシーンは、録画で何度も見ました。いつもは淡々としたイチロー選手が、少し長く時間を取り、観客と同僚の選手たちと抱き合うシーンは、球史に遺るワンシーンだったと思います。

 

ただ、こうやって引退試合(イチロー選手の場合はそういう名目ではなかったけど、実質引退試合と決めていたんでしょう)を組んでもらえる選手がいかに少ないことか。

20代前半で戦力外通告を受け、泣く泣く野球の道を諦める選手。
故障に苦しみ、ブルペン投手としてでも球団に残りたいと裏方に回る選手。
30代に入って、稼ぎ頭として頑張らなければいけない時に、自由契約、トライアウトに挑む選手…。

毎年、野球ファンは10月、11月になると、クライマックスシリーズ日本シリーズのワクワクと共に、この辛い速報を受け止めなければなりません。

 

その過酷な運命と行く末は、それこそ毎年ドキュメンタリーになっていますね。
プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』
お涙頂戴の番組であることは重々承知なのですが、毎年見てしまいます。
「こんなはずじゃなかった」
という選手たちの声が、いつも辛いし、耳に残ってしまうんですよね…。

 

イチロー選手の華々しい引退、日本で見られて良かったです。
『「イチロー」を引退する』と言った彼の言葉通り、「イチロー」から「鈴木一朗」になった彼の今後が楽しみです。