Departure's borderline

フリーランス編集/ライターのいろいろな興味事

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[Alexandros]に青春捧げすぎて今日が受け止められない

 

間違いなく、私の青春は[Alexandros]に染まっていました。

初めてその音楽を聴いたのは中学2年生の頃。たまたま入ったCDショップの視聴コーナーで[Champagne]の1stシングル「city」を聴いたことでした。そのリアルタイムでは、「ふうん、かっこいいけど」程度に思い、ハマることはありませんでした。

 

ここは何処ですか 私は誰ですか
(city)

 


[Alexandros] - city (MV)

 

city

city

 

 

そんな、若者の苦悩(私も超若者でしたが)を歌った曲に、少しだけ後ろ髪を引かれていたのかもしれません。彼らの音楽との再会は、その3年後に訪れます。

 

 

2013年、[Champagne]4枚目のアルバム「Me No Do Karate.」発売。

高校生になった私が、前と同じCDショップの視聴コーナーで見つけたこのアルバム。「久しぶり」と声を掛けられている気がして、視聴マシンに手をかけました。

 

彷徨って 途方に暮れたって
また明日には 新しい方角へ
この場所で この乱れた時代で
傷付きながら その欲望を守り抜いていく
(Starrrrrrr)

 


[Alexandros] / starrrrrrr feat. GEROCK

 

Me No Do Karate.【初回限定盤】

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衝撃。衝撃でしかなかったんです。

頭から電気を流されたみたいに、ぐわーっと胸の奥からこみ上げる衝撃。

3年前、同じ場所で「city」を聴いたときとは全く違う衝撃。

 

私は一目散に、そのアルバムを手にとってレジに走り出していました。聴かなきゃ。この音楽は私になにかを訴えている。そんな、フィクションみたいな衝撃でした。

 

家に帰り、父の持っていたちょっとお値段の張るヘッドフォンで、爆音で「Me No Do Karate.」を聴きました。

「Rise」「Stimulator」という攻撃的な、まるで俺らが勝者だと頭を抑え付けるような曲。私を呼び寄せてくれた「Starrrrrrr」。歌舞伎町で大げんかでもしたくなる「Kick & Spin」。アコースティックなギターが印象的な「涙がこぼれそう」。ツアーバンドとサラリーマンという対照的なものを描いた「Travel」「Wannna Get Out」。

 

まだまだありますが、その全ての曲が私に襲いかかってきて、喧嘩腰に「俺たちが[Champagne]だ」と訴えてきているような気がして。私はこの音楽が好きだと、私はこのバンドが好きだと確信するのはあまりにもたやすいものだったのです。

 

 

 

私は[Champagne]のファンになりました。

 

彼らはすごく身勝手で、ワガママで、超自信家で、私の想像の範囲に留まってはくれません。だからこそ、私は彼らについていきました。彼らについていけば、私の知らない世界を見せてくれると、信じて疑わなかったからです。

 

私が初めて行ったライブは、「We Don't Learn Anything Tour 2013-2014」、2013年11月14日、Zepp Tokyo。高校をサボって、電車で2時間かけてライブハウスに行きました。すぐそこに彼らを感じ、嬉しくなり、必死に右手を天に突きだし踊り、歌う。それが楽しくて。私は彼らのことをもっともっと好きになっていきました。

 

彼らの魅力にハマりにハマった私。そして程なく耳に入ってきた[Champagne]というバンド名を変更するという衝撃的なニュース。新しいバンド名は、彼ら初の武道館公演で発表するといいます。なんとかして2014年3月28日の日本武道館公演のチケットを手に入れることに成功した私は、その日、[Champagne]として最後のライブをこの目で見届けました。

 

そして、アンコール。

「はじめまして、 [Alexandros]です!」

 

おなじみの「Burger Queen」をバックに、そう高らかにシャウトした川上洋平

震えました。

彼らが大切にしてきた[Champagne]は、終わったんじゃない。進化したんだ。そう思える、力強い自己紹介だったからです。

 

[Alexandros]として初めて歌った新曲、「Droshky!」。続く「For Freedom」「Forever Young」「Don’t Fuck With Yoohei Kawakami」に、新たな可能性を感じたのでした。

 

 

 

私は[Alexandros]のファンになりました。

 

彼らはすごく身勝手で、ワガママで、超自信家で、私の想像の範囲に留まってはくれません。だからこそ、私は彼らについていきました。彼らについていけば、私の知らない世界を見せてくれると、信じて疑わなかったし、実際に見せてくれていたからです。

 

彼らは、どんどん大きくなっていきました。

キラーチューン「ワタリドリ」を手に入れた彼らは、タイアップ起用やメディア出演を次々とこなし、音楽フェスでは一番大きなステージのトリを務めることも珍しくなくなってきました。

 

ワタリドリのようにいつか 舞い戻るよ
(ワタリドリ)

 


[Alexandros] - ワタリドリ (MV)

 

そんな言葉を紡ぐ彼らの姿は、高校生の時に私が見ていたよりも遥かに遠く、小さくなりました。舞い戻ることなどなく、どんどん遠く、大きく羽ばたいていました。

そんな彼らを見て、嬉しくもあり、寂しくもあり。それでも私は、彼らに着いていきたいと思いました。

 

 

「EXIST!」「Sleepless Brooklyn」を経て、彼らは日本のロック界に、確固たる地位を築き上げます。昔はロッキンのDJブースで私達を踊らせていたんだよ、なんて話を信じてくれるようなファンも少なくなりました。

 

EXIST!(通常盤)

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  • アーティスト:[Alexandros]
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/11/09
  • メディア: CD
 
Sleepless in Brooklyn(通常盤)

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私にとっては一曲一曲が宝物で。
彼らを追い続けることが生活の一部になりすぎていました。

 

 

 

ある日突然入った、「庄村聡泰、活動休止のお知らせ」。すぐに帰ってきてくれる、そう信じていたファンたちの期待とは裏腹に、サトヤスの病気は重いものだったようです。

 

半年間の休養を経てサトヤス復活の嬉しいニュースが入ります。2019年6月16日さいたまスーパーアリーナで行われた「Sleepless in Japan Tourファイナル」。もちろん、現地に見に行きました。彼が元気に花道を歩き、ツーバスを踏み、高々と掲げられたクラッシュを殴る姿を見て、「ああ、大丈夫だ、もう帰ってきてくれる」。そう思っていました。

 

まさかその姿が、私の見る最後のドラマーとしての姿になろうとは。

 

 

 

2020年1月24日正午。
彼らのSNSアカウントが一斉に伝えた、「ドラムス庄村聡泰についてのご報告」。

 

サトヤスらしからぬ、少しマジメな文章には、もう彼がドラマーとしての人生を終えかけていることが記されていました。

 

どうしても演奏家ではない人生についての考えを無視できなくなってしまい、また、その気持ちが日増しに大きくなってきてしまい、ひいてはこの症状も自分の一部として受け入れた上で生きていきたいと思う様になりました。

 

そう思うに至るまで、どれほどの苦悩があったことか。

才能に恵まれ、多くのドラマーのお手本となったサトヤス。

不本意な自分の未来に、死よりも苦しい地獄を見たことでしょう。

10周年を、つい先日迎えたばかりの[Alexandros]には、残酷すぎるニュース。

 

自分に背中を預けてくれた、洋平。
あなた越しに広がる景色は、いつも本当に美しかったです。

 

そう、絶対的フロントマンに向けたサトヤスのコメント。「美しかった」と、綴られた言葉が過去形になっていることに、絶望を感じざるを得ませんでした。

 

ファンとして、受け止めなければいけません。

[Alexandros]は、4人で1つ。その形を大きく変えようとしている彼らを、受け止めなければいけません。

あえて、「引退」「脱退」ではなく、「勇退」という言葉を使ってくれた彼らは、サトヤスを含め、きっと次のステージを見据えています。

 

ありがとうサトヤス。本当にお疲れ様でした。

あなたたちがくれた音楽に、私は何度も救われました。

洋平、ヒロ、まーくん、サトヤスっていう4人じゃなくなる事実、いつかちゃんと受けとめてみせるよ。

 

ワタリドリのようにいつか 舞い戻るよ
ありもしないストーリーを 描いてみせるよ
(ワタリドリ)

 

もしかしたらワタリドリはサトヤスだったのかもしれないね。いつか、違う形で舞い戻ってくるサトヤスを、ありもしないストーリーを描いてくれるサトヤスを、私はずっと待ってようと思うよ。

 

でも、今日はちょっと無理かな。

今日は4人の[Alexandros]を聴いて思いっきり泣く日にしてやろう。

 

大丈夫 大丈夫
笑ってくれる
君に会いに行こう
(涙がこぼれそう)

 


[Alexandros] - 涙がこぼれそう (MV)