Departure's borderline

フリーランス編集/ライターのいろいろな興味事

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サカナクションと越える夜 -サカナクション『#夜を乗りこなす』

 

ライブにいけない。今月は4本、来月はフェスも含めて6本ライブが飛んでいる。生音を浴びることで生きることを感じている私みたいなmusic loversは生きた心地がしないですよ。ほんとうにね。

 

ここ最近、サカナクションが毎週土曜日にYouTubeでライブの配信をしてくれていまして、家のプロジェクターにパソコンをつなぎ、お酒を片手にライブ以上に踊り狂う週末を過ごしています。

 

サカナクションのこの一連のプロジェクトを表すハッシュタグ『#夜を乗りこなす』。これ、もともとはサカナクションの楽曲『さよならはエモーション』の中の歌詞なんですけど。とても今の私たちの心境と合っていて、すてきで美しい日本語だなと思いました。

 

さよなら 僕は夜を乗りこなす ずっと涙こらえ
忘れてたこと いつか見つけ出す ずっと深い霧を抜け

サカナクション『さよならはエモーション』

さよならはエモーション

さよならはエモーション

  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

サカナクションのライブのすごさ

サカナクションのライブは、いつも新しい試みがあって、クオリティも高く、非常に面白い。今までに5回ほど現地参戦していますが、そのどれもが完璧で、妥協のない素晴らしいライブだなと感じます。

 

その一つが、おととい18日にYouTube配信があった、2017年『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』。これ、幕張メッセ現地で私も見ていたんですけれども、ほかのどんなライブよりも音がヤバかった。

 

だいたい、ライブのスピーカーは左右2つ+ウーファー1つの2.1ch。それを、左右2つ×前中後の3か所、計6つのスピーカーでやってしまおうという、最高音響のライブでした。

 

この6.1chがなにを可能にしたかというと、まず会場の後ろのほうでも音がめちゃくちゃクリアに聴こえること。そして、左右に音を振ったり、前後に音を振るといった、立体音響が可能になっていること。

 

 

サカナクションの音響チーム、『チームサカナクション』は、彼らの多彩な音色を操るために、凄腕が集められていることは有名な話。その裏方たちが丹念に作り上げる「幕張メッセ」という巨大なハコを手玉に取った音作りは圧巻でした。

 

現地参加の私、超後ろで見てたんですけど、スピーカーとの距離が離れるとできてしまう音遅延や反響も少なく、非常にクリアな音で楽しむことができました。

 

 

 

すべてが「新しい試み」

そういった、新しい試みを次々と試してくれるサカナクション、やはりすごいなと感心してしまいます。

 

そういえば、私がサカナクションと出会ったきっかけも、そんな「新しい試み」がきっかけ。私が中学生だったころ、NHKの音楽番組(番組名まったく思い出せません)で『アルクアラウンド』のPVを紹介していたのが、私とサカナクションの出会いでした。

 

アルクアラウンド』のPVは、1曲まるまるワンテイクワンカットのPVながら、カメラの位置によってバラバラに置かれたパネルが歌詞を浮かび上がらせたり、それがエンドレス表現になっていたりと、なかなかにこだわりぬいた演出が魅力的。

 

当時中学生だった私は、このPVにくぎ付けに。すぐにCDを購入し、テープだったら擦り切れているほどに聴きこみました。

 


サカナクション - アルクアラウンド(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-

 

 

 

サカナクション」だから成せる逆境突破

彼らのすごさはそれだけにとどまりません。

その1つはやはり、唯一無二のそのジャンル。ロックとも、テクノとも違う、「サカナクション」というジャンルが、すでに彼らの手によって築かれているんですよね。

 

曲調や作品が似ているアーティスト…サカナクションが好きな人に薦めるアーティスト…まったく浮かばないですもん。サカナクションが好きな人は、たぶん別枠としてサカナクションが好きなんだと思います。

 

 

そしてもう1つは、この自粛期間であっても、「ほかのアーティストのファンを食っていく」かのような貪欲さが感じられるということ。

 

各方面のアーティストがライブ延期や中止、CD発売の延期などを迫られ、アーティストもファンも疲弊している今、疲弊しているファンを引き込むかのような新しいプロジェクトの数々。

 

サカナクション独自のレーベル「NF Records(あくまでビクターエンタテインメント内レーベル)」を持っていることも強みになり、山口一郎のアイデアマン気質と合わさってこの逆境を猛烈な勢いで進んでいます。

 

 

 

まとめ

サカナクションが私たちmusic loversに差し出した『#夜を乗りこなす』は、もちろん私たちを励ますコンテンツ。でも、彼らは、夜をのりこなしたその先をすでに見据えているはずです。

 

この長い夜を越えた時、サカナクションは、私たちの気づかないうちに、もっととてつもないものになっているかもしれません。